『「つながる」サブスクリプションの特長』
売り切り型ビジネスとは決定的に異なる「4つの特長」
前回まで、サブスクリプションの本質は、単なる課金方式ではなく「顧客との継続的な関係(つながり)が担保されていること」であると解説してきました。では、その「つながり」を持つビジネスは、従来の「売り切り型」ビジネスと具体的に何が違うのでしょうか。
多くの事業家がサブスクリプションへの参入を検討しますが、売り切り型と同じ感覚で設計すると、その構造的な違いに戸惑うことになります。ここでは、売り切り型と比較した際に浮かび上がる、サブスクリプションならではの4つの特長について見ていきましょう。
1. 取引の性質:「契約」からすべてが始まる
モノの売買(売り切り)において、「欲しい」という意思表示と代金の支払いは、取引の終了を意味します。洋服店で服を選び、代金を支払って店を出れば、そこで関係性は一旦完結します。
一方、サブスクリプションは「申し込んでから」が本当の始まりです。動画配信サービスなどを例にとると、利用の意思表示(申し込み)は「契約の締結」を意味し、そこから顧客が「やめる」と言わない限り、永続的に関係と支払いが続きます。つまり、顧客の意思表示はゴールではなくスタートであり、そこから始まる長い契約期間をいかに維持し、離脱を防ぐかという、売り切りとは全く異なる時間軸でのビジネス設計が求められます。
2. 管理の複雑性:多岐にわたる「期間や条件」の設計
売り切り型ビジネスの管理項目は、主に「商品コード(何が)」と「価格(いくらで)」というシンプルな要素で構成されます。しかし、サブスクリプションでは、契約に基づき共に歩む「期間」の管理が不可欠となります。
「契約期間」「サービス有効期間」「課金対象期間(初月無料など)」「縛り期間(解約不能期間)」など、管理すべき期間の概念は複雑多岐にわたります。さらに、携帯電話料金のような二段階定額など、条件も複雑化します。多くの企業がサブスクリプションに参入する際、商品設計やシステム管理のフェーズで高いハードルを感じるのは、この「期間や条件」の管理が、売り切り型に比べて圧倒的に複雑だからです。
3. 顧客の可視化:メーカーが「顧客とつながっている」状態
従来の流通モデル(例えばテレビの販売)では、メーカーが作った商品は、卸や小売を経てユーザーに届きます。この際、メーカーは「どの小売店に卸したか」までは把握できても、「最終的に誰が使っているか」を知ることは困難でした。
これに対し、サブスクリプション(例えばMVNO/格安SIM)では、メーカーや事業者は「誰が」「どのプランを」「どのように使っているか」を当然のように把握しています。サービスの提供にはつながりが不可欠であるため、商流がどうであれ、最終顧客と直接つながっている状態が担保されます。この「顧客の顔が見えている」という点は、データ活用や関係構築において、売り切り型にはない決定的な強みとなります。
4. 双方向の関係性:受動的購買から「顧客がアクションする」へ
モノの売買において、顧客は基本的に「買うか、買わないか」という受動的な立場にあります。購入後の使用状況や、商品に対する不満(リサイクルショップへ売るなど)をメーカーが知る由もありません。
しかし、サブスクリプションでは、顧客は能動的にアクションを起こします。「プランを変更する」「オプションを追加する」、あるいは「解約する」。これらのアクションはすべてシステムを通じて事業者に伝わります。顧客が自らの意思で契約内容を変更できる、つまり「顧客からアクションができる」という双方向性は、顧客の状態をリアルタイムに把握し、適切な施策を打つための重要な接点となるのです。
解説動画のご案内
本ページでは、解説動画の内容を要約してテキスト形式でご紹介しております。
サブスクリプション事業について、さらに詳しく知りたい方は、ぜひ解説動画をご覧ください。
<動画概要>
テーマ :『「つながる」サブスクリプションの特長』(約17分)
解説者 :株式会社サブスクリプション総合研究所
代表取締役社長 宮崎琢磨
視聴方法:動画のご視聴にはお申し込みが必要となります(無料)