『サブスクリプションの本質は、ビジネス革命』

「サブスクリプション」は決済や課金の文脈で語られがち。しかし、ビジネスモデルが変わり、市場が変わり、プレイヤーが代わる、「ビジネス革命」が起きる、ことに本質がある。

「サブスクリプション」や「サブスク」というキーワードが新聞などでも使われるようになりましたね

そうですね。我々はそういったキーワードもまだない頃の2006年から「サブスクリプション」のためのプラットフォームを作り、この領域を専門に事業を展開してきていますので、ようやくこの時代になったか、と感慨深いです。

「サブスクリプション」というカタカナ用語ではありますが、定期購読・定期支払いというビジネス自体は、公共料金や購読料の支払いに始まり、「お金の取り方」という視点だけで見た場合、この考え方自体は旧来的なもので、特段珍しいものではありません。

なぜ、突然の「サブスクリプション」ブームなのでしょうか?

ビープラッツ(株)
代表取締役社長 藤田健治 

ここで、いま世間で「サブスクリプション」と一言で表現されるなかにある、ビジネス体系の違いを少し読み解いてみましょう。

実態としては3つの大きな区分があると我々は考えています。

1つ目が「『モノの販売』を月額化・定額化しているもの」、2つ目は、「提供形態を『モノからコト』へと変化させているもの」、そして、最後の3つ目が「これまでにない『新たな価値』を創造させているもの」です。

どういうことかと申しますと、まず1つ目は、これまでも存在していた「モノ」を、販売形態を月額払いにしたりして「『モノの販売』を月額化・定額化」することです。いわゆる「コーヒーの月額定額飲み放題」といったサービスです。新たなサービスや価値を作り出すのではなく、既存の商品やサービスの提供方法をワンタイムの売買から、月額定額化することにより、主にコスト面でのメリットを提供する形式、といえます。

次に、2つ目は、技術革新などを背景に「売る『モノ』が『コト』へと変わり」「お金の取り方もサブスクリプションになった」ことを指します、たとえば、昨今流行っている月額見放題・聴き放題のサービスでは、お客様が事業者から「CDやビデオを買う」という行為は、「毎月の試聴をサブスクリプブスクリプションション契約する」という新たなライフスタイルへと変質しています。その背景としてはクラウドコピューティング、スマートフォン、インターネット環境などの飛躍的な技術革新により「常にコンテンツ・サービスに繋がる」ことが実現されているわけです。こういった例では「常に繋がる」特性と「サブスクリプションで課金する」特性が非常に相性がよいことが特筆すべき点となります。

3つ目は、いわば1つ目と2つ目の複合型になります。課金体系はサブスクリプションであるものの、事業者が何を売るか、という観点では、1つ目は「モノ」のまま、2つ目は「モノ↓コト」になっている、という違いがあります。これに対し、3つ目は「モノ+コト」を両方組み合わせることで、「これまでにない『新たな価値』を創造させているもの」となります。例えば、自動車の販売という「モノ」ビジネスから、カーシェアリングやライドシェアなどの新たな「モノ+コト」ビジネス、新たなビジネスモデルが生み出されています。ここまでの変革が進んだ場合には、新たな保険体系の発生など、周辺産業にも新たな潮流が生み出されていくこととなります。昨今話題になっている「IoT(モノのインターネット)」は、まさにこの領域の典型例と言えるかと思います。この3つ目は、ビッグデータの蓄積と再利用、スマートデバイスを介した細かなパーソナライゼーションの実現など、技術革新と両輪になった価値創造も含んでいます。特に、米国を中心としたネット企業はモノよりも、サービス、サービスよりも、価値(データ)を重んじる傾向にあり、世界的なビジネスのトレンドはそこに向いてきていますので、あらゆる産業の例外なく、既存の収益モデルに固執することはかなり危険な状況にある、とも言えると思います。

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